脳の重さは体重の約2%程度なのですが、24時間休まず働いているので、消費するエネルギーは全体の約20%を占めています。そのため、充分な栄養素と酸素を供給できるように毎分約750mlの血液が流れ込んでいます。
脳は唯一エネルギー源として利用できる炭水化物(ブドウ糖)を1日に焼く120~130g消費しています。そしてブドウ糖をエネルギー源として利用するには、酸素が必要で、体内に取り込まれた酸素のうち、脳が1日に消費する量は全体の20~25%にあたります。
さて、脳が軽い酸欠状態になったときのサインのひとつに、あくびがあります。あくびを連発するようであれば、窓の部屋の空気を入れ替え、深呼吸などをして脳に十分な酸素を与えてあげましょう。また、ストレッチなどの軽い運動をして全身の血流を促進すると、脳の血流も活発になりますよ。
~眠る脳と眠らない脳~
働き続けた脳は、体と同様に疲労を感じるので、回復のために睡眠が必要です。脳のうち、睡眠を必要とするのは大脳皮質です。大脳皮質が眠ると小脳や視床も眠りにつきます。しかし脳幹にある呼吸や心拍、血圧を調整する橋(きょう)や延髄などが活動を止めてしまうと、生命を維持することができなくなるため、脳幹は眠ることなく働き続けています。
また睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠がありますが、脳が眠るのはノンレム睡眠のときです。これは呼吸や脈拍は安定していますが、筋肉は緊張状態にあります。筋肉は起きているので寝返りを打ったり手足を動かして体の圧迫を解放し、血液のめぐりを良くしてします。一方のレム睡眠では、筋肉を緩めて体を休めていますが、脳は働いています。記憶の整理や必要のない情報の消去を行うために夢を見ることが多く、目は閉じていても眼球が活発に動き、呼吸や脈拍が不安定な浅い睡眠です。
ちなみに、レム睡眠時の脳波は右脳が活発に働いていることを示しているため、夢は右脳で見ているといわれます。
さて運動能力と比較して、年齢を重ねても思考力や判断力の衰えが顕著にみられないのは、脳の神経細胞同士をつなぐ役目を持つシナプスという部分が学習を積むことで増えていくからです。シナプスの衰えを防いで脳を活性化させるためには、脳に絶えず刺激を与えることが大切です。簡単なことですが、書き取りや音読、簡単な計算などなるべく指先を使ったり、食べ物をよく噛んだりすると五感を刺激することができます。また、周りの人と積極的にコミュニケーションを図ることも効果があります。毎日の生活にちょっと取り入れて脳の活性化を図っていきましょう。