血糖値が急上昇しないよう、また、高血糖状態が続かないように気を配ることは、ホルモンの無駄使いや糖化を防ぐために大切です。
例えば、喉が渇いたときに、甘いジュースや炭酸飲料を一気に飲むと、血糖値が急上昇するとともに、血中インスリン濃度も急上昇してしまいます。
インスリンが大量に分泌されていると、血糖値が下がった後も血中インスリン濃度が高い状態が続きます。
インスリンが効きすぎると、低血糖に陥ります。
低血糖は体にとって非常に危険な状態ですから、今度はインスリンの効きを悪くするような働きが起こります。
これがインスリン抵抗性のメカニズムです。
こうなってしまうと、インスリンが分泌されても血糖値が下がりにくい、すなわち体内が非常に糖化されやすい状態になってしまうのです。
<血糖値を急上昇させない食事のポイント>
①空腹時に、甘いジュースやお菓子、パンなどをなるべく食べないようにしましょう。
どうしても食べたいときは、胚芽小麦やライ麦のパン、玄米などを選ぶだけで、血糖値の急上昇を妨げます。
②GI値の低い食品を知っておきましょう。
GI値とは、Glycemic index(グリセミック指数)の略で、ブドウ糖100gを摂取したときの血統上昇を100%として、
同カロリーの炭水化物あるいはほかの食品を摂取したときの血統の上昇比を示す数値です。
食事の際は、GI値の高いものを後回しにすることを心がけるといいでしょう。
(食品とGI値)
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低 |
中 |
髙 |
炭水化物 |
春雨、そば、全粒粉パン、 ライ麦パン、玄米 |
うどん、パスタ |
白米、精製された 小麦のパン |
野菜 |
レタスなどの葉物、 キノコ類、大根、かぶ、 ピーマン、ブロッコリー |
さつまいも |
にんじん、かぼちゃ、 じゃがいも |
菓子・果物・ 乳製品 |
りんご、いちご、 ナッツ類、牛乳、 ヨーグルト、チーズ、 バター |
プリン、ゼリー、 アイスクリーム、 パイナップル、バナナ |
フライドポテト、 せんべい、クッキー、 チョコレート |
③ご飯を先に食べるより、サラダなどの野菜類を先に食べましょう。
ご飯が大好き、ご飯とおかずを一緒に食べたいという人も、血糖値の急上昇を防ぐために、まずは野菜を一口食べることを心がけましょう。
お手本は懐石料理で出される料理の順番です。
まず野菜を食べ、次に魚・肉などのタンパク質を食べ、最後にご飯などの炭水化物の順番で食べるといいでしょう。
④果物を上手に利用しましょう。
果物は甘みがあるから糖化によくないと思いがちです。
しかし、果物を先に食べてから食事を取ることで、血糖値の上昇が緩やかになって、糖化を軽減する可能性があることがわかっています。
果物には、果糖の含有量がそれほど高くない上、食物繊維やビタミン類などが豊富に含まれているからだと考えられます。
朝食やおやつなどに、果物を上手に利用しましょう。
⑤異性化糖に注意しましょう。
異性化糖とは、ブドウ糖と果糖を主成分とする液状糖で、原料はとうもろこしやじゃがいも、あるいはさつまいもなどのでんぷんです。
果糖含有率(糖のうち果糖の割合)が50%未満のものを「ブドウ糖果糖液糖」、
果糖含有率が50%以上90%未満のものを「果糖ブドウ糖液糖」、
果糖含有率が90%以上のものを「高果糖液糖」、
これらの液糖に10%以上の砂糖を加えたものを「砂糖混合異性化液糖(その液糖がブドウ糖果糖液糖なら砂糖混合ブドウ糖果糖液糖)」といいます。
異性化糖は砂糖に比べて安価なため、菓子や清涼飲料水、調味料などさまざまな加工食品に使用されています。
果糖は、ブドウ糖の10倍も糖化を早めるという報告もあり、取りすぎにはくれぐれも注意しましょう。
<糖化予防には>
体内の糖化反応を防ぐためには、ハーブの一種であるカモミールが効果的です。
同志社大学の研究によると、カモミールに含まれるカマメロサイドというポリフェノールの一種には、
一部の糖化を予防する作用があることがわかっています。
緑茶に含まれるカテキンやドクダミでも似た効果があります。
そのほか、ゴマやクルミなどに含まれているビタミンB6のピリドキサミンとピリドキサールに、
AGEsの生成を阻害する作用があることが確認されています。