No.22 お酒の楽しみ方

アルコールに関しては、いろいろな俗説があります。「ビールであれば、利尿作用が強いので老廃物を外に出してくれる」、「ビールは、健康食品にもあるビール酵母を含んでいるので健康にいい」、あるいは「焼酎やウイスキーのような蒸留酒であれば血糖値を上げる心配はない」などなど。

実は、糖尿病や肝機能障害の方に問題なのは、お酒に含まれる糖分ではなく、アルコールそのものです。では、アルコールは適量に飲むと体にいいといいますが、いったい適量とはどのくらいの量なのでしょうか。一般に焼酎1.8合(ビール大瓶3本、日本酒三合、ウイスキーダブル3杯に相当します)以上を毎日欠かさず5年以上飲んでると肝臓に障害が現れるといわれています。

胃腸から吸収されたアルコールは肝臓で分解されますが、肝臓が一度に処理できる量は決まっています。そのため、分解できずに体に残ったアルコールは、体のいたるところに害を与えます。肝臓の処理能力は、焼酎0.6合を処理するのに約3時間かかるといわれ、この計算でいくと、1.8合飲めば、処理をするのに9時間かかり、夜の12時に飲み終わった場合、翌朝まで残ってしまうわけです。

さらに障害を受けるのは肝臓だけでなく、膵臓も影響を受けます。肝臓から血液に入ったアルコールが膵臓に達し、膵臓が毎日アルコールにさらされていると、タンパク質が固まってカルシウムが沈着し、膵臓が線維化してしまいます。また、アルコールを取ると、胃液の分泌が増加して膵液の分泌を促しますが、その一方でアルコールは、十二指腸の粘膜を刺激するため、膵管の出口に炎症を起こしてしまいます。これを繰り返すことで、慢性膵炎になってしまうこともあるのです。日々のお酒は適量を守って、週二日くらいは休肝日を作りたいものですね。

<肝臓を守ってくれるタンパク質>

お酒のおつまみの定番、枝豆や豆腐などの豆類は、肝臓を守って改善する効果のある食べ物です。お酒を飲むと肝臓の脂肪を分解する働きが低下するため、肝臓の中に脂肪が溜まりやすくなります。肝臓から脂肪を放出するには、タンパク質と結びつくことが必要なので、豆類を取ると肝臓の脂肪が排出されるようになります。豆類のほかに、良質のタンパク質である鶏肉も肝機能改善の効果があり、魚介類に含まれるタウリンは肝機能向上に役立ちます。

<胃腸を守ってくれる乳製品>

胃が空の状態でアルコールを取ると、胃の粘膜が弱くなって胃潰瘍や十二指腸潰瘍になる危険性が高くなるのはよく聞く話です。そんな時、胃腸を守ってくれる働きを持つのが乳製品です。乳製品に含まれる乳脂肪は胃壁に膜を張るような状態になります。ほかにも、オクラや納豆、山芋などのネバネバ成分も胃の粘膜を保護してくれます。膜を張ることで、アルコール、そしてビール、サワーなどに含まれる炭酸ガスの吸収を和らげることができます。また緑茶を飲むこともお勧めです。緑茶は交感神経を刺激して余分な成分の吸収を妨げて、アルコールの吸収を抑えてくれます。

Comments are closed.