お茶は茶葉の発酵度によって分類され、発酵度の低いものほど体の熱を鎮め、発酵度が進むに従って体を温める働きが強くなります。代表的なお茶のうち、発酵度の低いものから並べると、緑茶→烏龍茶→紅茶→プーアール茶の順です。お茶にも、食物やお酒と同じように、飲んだ後に体をあたためるものや冷やすものがあります。
さて温のお茶には、胃腸から体全体をあたためて内臓の機能を高め、気・血・水(津液)のめぐりをよくする働きがあります。代表的なものは、紅茶、花茶です。このうち、視力を改善し、脳の集中力を高めるためには紅茶が、イライラを解消し、精神を落ち着かせるためには花茶が役立つといわれています。
●紅茶
茶葉を完全に発酵させ、乾燥させたものです。昔、イギリスが中国から買い始めたお茶が偶然に発酵してできたものが再び中国に伝わったという話は有名ですよね。近年、紅茶の成分であるテアフラビン(色素)の強い抗菌作用や、タンニンの血栓予防作用がよくいわれています。また、紅茶に生姜を加えて飲むと、温の働きがさらに高まりますよ。
●花茶
花茶には、発酵させない茶葉に花の香りをつけたものや、茶葉に花びらを加えたもの、花やつぼみ自体を乾燥させたものなど、さまざまな種類があります。代表的なものは、ジャスミン茶や菊花茶です。
ジャスミン茶は、茶葉が香りを吸い込む特徴を利用し、ジャスミンの花が咲ききらない蕾を摘み集めて緑茶にもみ込み、香りを移して作ったものです。近年、濃度1%のジャスミン茶には、血液中の免疫リンパ細胞のT細胞の分化を促進する効果があることが注目されています。免疫力にかかわるT細胞の分化がストレスによって低下すると、アレルギー反応を起こして自己を攻撃し、リウマチや膠原病などを引き起こすと考えられています。
菊花茶は、菊の花を乾燥させたものです。菊花茶には、毛細血管を拡張することによる血圧降下作用があることが注目されています。また、冠状動脈を拡張するため、心筋への血液供給を増やし、狭心症の痛みをやわらげる作用もあります。