過敏性腸症候群は、腸に炎症やがんといった病気はないのに、下痢や便秘などの便通異常を繰り返す病気です。ストレスが関係する典型的な現代病で、決して珍しい病気ではなく、日本人の5~10人に1人がこの病気の診断基準に当てはまるといわれているそうです。以前は過敏性大腸症候群と呼ばれていましたが、最近では小腸も関与していることがわかってきて、今の名前になっています。
特に働く世代に多くみられますが、実際に深刻な便秘や下痢があっても病気という認識がないため、8割程度の人が治療を受けていないといわれています。
<特徴・症状>
過敏性腸症候群の症状は、「会議中や通勤電車内で、決まってお腹が痛くなり、下痢をする」「便秘で腹痛があり、トイレではコロコロした硬い便しか出ない」などがあります。
過敏性腸症候群の種類
下痢型 |
腹痛を伴う下痢を繰り返すタイプ。それほど強い下痢ではなく、男性に多く見られる。 |
便秘型 |
便意があっても、コロコロした硬い便やゆるい便が少し出ることが多く、女性に多い。 |
交代型 |
下痢と便秘を数日ずつ繰り返すタイプで、最もよくみられる。 |
いずれのタイプも、下痢や便秘に加えて、腹痛や腹部膨満感など不快な症状を伴うことが多いのが特徴です。しかし、血便や体重の減少などはみられず、器質的な病変による大腸がんや潰瘍性大腸炎などとは異なります。また、お腹の症状以外に、「頭痛」「肩こり」「倦怠感」「関節の痛み」「うつ状態」などのさまざまな不定愁訴を伴うのも、この病気の特徴の1つです。