No.62 体内リズムを整える(腸)

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私たちの体は、それぞれの部位や機能ごとに、1日の中でさまざまなリズムを持っているといわれています。たとえば、気分や意欲などのメンタルな機能は、一般に早朝はやや抑制気味ですが、昼頃には次第にリズムが高まり、14~15時頃にはピークを迎えます。この後、夕方から夜にかけて低下し始め、就寝時刻には1日の中で最低を示すことになります。

同じように、腸にも固有のリズムがあります。朝の起きがけは腸の蠕動運動が最も活発で大蠕動」がおこります。さらに、日中も1~2回、大蠕動が起こりますが、これらは朝よりも小さな動きです。大蠕動は、胃に食べ物が入ることでおきますので、朝食をしっかりと取ることが大切です。ところが、現代人は忙しさやダイエットなどを理由に朝食をとらない人も多く、これが腸のリズムを乱し、腸のストレスを生み出す引き金となっています。

こうした体内リズムの中心的な役割を果たしているのが体内時計です。体内時計は脳の中の視交叉上核という神経細胞の集まりにあり、自分の力で動く時計として機能しています。暗くなると眠くなり、朝になると目覚めるようになっているのも、この時計の働きのおかげです。

体内時計は、体温や体内リズムをコントロールする「メラトニン」、ヤル気のホルモン「セロトニン」などのホルモンのリズムと関連しながら、人間の身体的、精神的能力を1日の中で効率よく発揮させる作用があるといわれています。腸でいえば、朝に最も活発に動くように指示をだしているとかです。

大蠕動が、空腹時である朝に最も強くなる背景には、体内時計の指令に呼応する自律神経の働きが関与しています。自律神経は交感神経と副交感神経が交互に活動することで、体内のリズムを作っていますが、朝に大蠕動が起こるのは、この副交感神経の働きが関与しているためです。体内時計が狂い、自律神経の働きが悪化すると、カラダにとっても腸にとってもストレス状態になります。

現代人は、不規則な生活やストレスから、この体内時計に狂いが生じている人が多いといわれています。忙しいながらも、なるべく規則正しいリズムに戻してあげることが、腸の病気を減らすまず1歩といえるようです。

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