No.67 脳と運動器の不思議な関係(3)

s-D1000442

「中継を担う神経」

情報や指令の橋渡し役を担っているのが、脳または脊髄に出入りして全身に張り巡らされている神経です。

このうち、脳に出入りする左右12対の脳神経は、首付近より上にある顔や頭などの情報や指令を中継し、脊髄に出入りする左右31対の脊髄神経は、首付近より下にある体幹や手足などの情報や指令を中継しています。

このように、神経による情報や指令の橋渡しは、なるべく短い距離で効率よく行えるようになっています。

また、脳神経も脊髄神経も、それぞれが、情報専用の感覚神経指令専用の運動神経に分かれて一方通行になっています。

そのため、例えば、小石を踏んだことによる刺激の情報は足から感覚神経を通り、脊髄の背側を経て体性感覚野へ届きます。すると、今度は、運動野からくだされた「足を上げろ」という指令が運動神経を通り、脊髄の腹側を経て足の筋肉へ届きます。

ただし、感覚神経も運動神経も、延髄の下で左右に交差していますので、例えば、右足からの情報は左脳の体性感覚野へ届きます。

なお、脳と脊髄は、神経のなかでも特に重要な役割を担っていることから、中枢神経と呼ばれています。そして脳神経と脊髄神経は、中枢神経と全身をつなぐ神経であることから、末梢神経と呼ばれています。

さらに、脳神経と脊髄神経は、筋肉などにつながり、それらを思い通りに動かすしくみにかかわっていることから、体性神経とも呼ばれています。

これに対して自律神経は、消化器や血管系、内分泌腺などにつながっていて、意思にかかわらず常に体の状態を安定させるしくみにかかわっています。 

Comments are closed.