重いものを持った時に腰が痛む人は、もしかすると、変形性腰椎症かもしれません。
変形性腰椎症は、前述のロコモティブシンドローム(※)に最も深くかかわっています。
背骨と呼ばれる脊柱は、椎骨という骨が縦に31~33個連なって形成されており、椎骨と椎骨の間は椎間板によって連結されています。椎間板は同時に背骨のクッションのような役割も果たしていますが、加齢や肥満、腰の酷使などによって、特に腰の部分を構成する椎骨(腰椎)の椎間板などの弾力性が失われ、周辺を走る感覚神経に刺激を与えることで痛みがもたらされます。
また、椎間板が左右非対称に変形・変性したり、椎骨自体が左右非対称に変形したりすることで、正しい姿勢を保てなくなったりもします。
さらに、本来は軽く前方に弯曲している腰椎が変形し、後ろに弯曲して腰が曲がったようになったり、側方に弯曲したりすることがあります。他にも、椎骨同士がぶつかって磨り減ることで、骨が増殖する作用が生じ、椎骨の表面にトゲのような骨ができることがあります。
(※)ロコモティブシンドロームとは、運動器が衰えて「立つ」「歩く」といった動きが困難になり、要介護や寝たきりになってしまうこと、または、そのリスクが高い状態のことで、公益社団法人日本整形外科学会によって提唱されている言葉です。ロコモティブは、英語で「運動の」または「機関車」という意味であり、年齢を重ねることに否定的な意図を持ち込まないことが大事であるとした上で、機関車の力強く前進する能動的なイメージを取り入れて名づけられています。現在、ロコモティブシンドロームに陥っている人は、予備軍も含めて4000万人とも5000万人ともいるとされています。気づかないうちに陥っている場合が多いため、なるべく早いうちに自覚し対処することが必要です。