変形性腰椎症に次いでロコモティブシンドロームに深く関わっているのが変形性膝関節症です。
膝の痛みに悩む中高年の人の多くは変形性膝関節症であるともいわれています。特に、歩いている時や、階段を上り下りしている時、走っている時などに膝が痛みます。これには、膝にかかる負担が関係していて、歩いている時は体重の2~3倍、階段を上り下りしている時は体重の約5~7倍、走った時には体重の約10倍にもなることがわかっています。
また、正座ができなくなったり、膝を完全に伸ばせなくなったりするなどの膝関節の動きに制限がみられます。悪化すると、膝に水がたまって腫れぼったく重くなり、安静にしている時にも膝が痛むようになります。
このような痛みは、加齢や肥満、膝の酷使、筋力低下などによって、膝の関節においてクッションの役割を担う軟骨などが磨り減ることで発生した浮遊物が関節内に漂い、周辺を走る感覚神経に刺激を与えることでもたらされます。
特に、膝の内側の軟骨が磨り減ることが多く、また、女性に多くみられるという特徴があります。そして、やがて、膝の関節に炎症が起きたり、関節が変形したりすることにつながります。
長引く痛みは、さまざまな要因が複雑に絡み合って起こることが少なくありません。整形外科やペインクリニックで検査をしても、訴えるほどの痛みを起こす異常が認められない時は「不安や抑うつ」「ストレス」などの心理的な要因がかかわっている場合もあります。