運動器の衰えは、誰にでも確実に訪れます。しかし、思い通りに動かせる骨格筋は、上手な動かし方さえ覚えれば、思い通りに鍛えることができます。さらに、骨格筋と骨は、運動や食事による効果を期待しやすいことがわかっています。
運動器の衰えといわれても、青年期や中年期の人はまだ実感がわかないものですが、運動不足などによって骨格筋があまり使われないと、筋組織が弾力性を失い、機能が低下します。そのため、健康な人でも、横になって寝たまま1週間程度過ごすだけで、歩くことさえ難しくなる場合があります。
運動は、ラジオ体操などの「整える運動」と、筋力向上運動などの「鍛える運動」に大別されますが、運動器の衰えを抑えるために適しているのは「鍛える運動」です。ただし、身構える必要はありません。まず大切なのは、毎日続けることです。
鍛えたい部位は主に6ヶ所。
①胸・肩・腕の周り
②お腹のまわり
③太もものまわり
④ふくらはぎ
⑤腕
⑥背中
ここでは、座る・立つ・歩くなどの日常生活の動きに深くかかわる、太ももにある大腿四頭筋と、ふくらはぎにある下腿三頭筋を鍛える方法を1つ紹介します。ゆっくりと負荷をかけて、骨格筋を形作る1本1本の筋線維を活性化しましょう。
<下半身を鍛えるスクワット運動>
①まずは、安全のためにイスやソファーなどの前に立ち、足を肩幅程度に開いて立ちます。
②上半身をなるべく動かさないようにして、深呼吸をするペースで、スクワット(膝の曲げ伸ばし運動)を5~6回繰り返します。膝を曲げる時はお尻を真下に落としてしゃがむイメージをもちます
③この動きを1日3回行います
※注意 このスクワット運動で力を入れる時は、息を止めないようにしましょう。息をこらえて力を入れると血圧が上昇します。また、運動中に痛みを感じる部位があったら、無理をせずに止めましょう。何らかの治療を受けている人は、主治医と相談しながら取り組むことも忘れずに。