世界有数の長寿国となった日本が、今後目指すべき方向は、単なる長寿ではなく「健康寿命(日常的に介護を必要としないで自立した生活ができる生存期間)」を延ばすことにあります。なかでも、免疫は私たちの体を守る重要な働きを持っています。
私たちが病気にかからず、健康で元気な生活を送ることができるのも免疫のおかげです。自分の体を守って健康寿命を延ばすためにも、免疫が持つ力「免疫力」を高める普段の生活におけるポイントを知っておきましょう。
「体を温めよう」
体の細胞や組織が正しく機能するためには、体温を一定に保つ必要があり、人間の深部体温(心臓や脳などの体の内部・中心の温度)は、約37度に保たれています。体温は、摂取した食物を体内で消化・燃焼するといったエネルギーの代謝や運動(筋肉を動かす)によって熱をつくり、その熱で血液が温められます。
そして温められた血液が循環することによって体は一定の温度を維持できています。体温を保つと体の機能が正常に働き、病気にかかりにくくなります。
一方、体温が低い状態が続くと基礎代謝が低下し、内臓などの機能も衰えるため、体調も悪くなります。また、がん細胞は35度以下で分裂・増殖しやすくなるといわれています。マクロファージやリンパ球といった免疫細胞(白血球)は体温が高い方が活発に働きます。
風邪などをひいてウイルスなどの異物が体内に侵入してくると、免疫細胞が活発に働き、体温を上げて発熱させます。風邪などのウイルスは低い温度を好んで活発に動くため、発熱してウイルスを抑制するわけです。風邪をひいて熱が出るのは、免疫細胞が体内で異物と戦っているからなのです。
■朝ごはんを食べて体を温めましょう
夜の寝ている間は、脳や体は休息に入るため、体温は低下しています。寝起きは体温が下がったままなので一日で最も体温が低い時間帯といえます。
脳を朝から一日中元気に動かすには、エネルギーが必要です。朝ごはんを食べると熱が体の中でつくられ、寝ている間に低下した体温を上げて脳や体を活動しやすい状態にしてくれます。
■お風呂につかって体を温めましょう
熱いお湯を張って湯船につかればすぐに体温を上げることはできますが、体力のない人や心臓の弱い人には体に負担をかけてしまいますので不向きです。
無理なくお風呂につかるには、ぬるま湯(38度~40度)を湯船に張り、全身ではなく腹部(おへその辺り)までの半身だけを湯船につけて、汗が出る15分から30分程度じっくりつかるのがおすすめの入浴法です。