高血圧は、「本態性高血圧」と「二次性高血圧」との2つに分類され、原因が特定できないものを「本態性高血圧」、特定できるものを「二次性高血圧」と呼んでいます。
■本態性高血圧(原因となる病気がないのに血圧が高い)
本態性高血圧は、日本の高血圧患者の約90%以上を占め、原因となる明らかな病気を持ちません。そのため、即効的な治療が難しく、生活習慣の改善と医学的療法を併行して進めながら、ゆっくりと症状を改善していきます。
本態性高血圧の発症の原因は特定できていませんが、多くの調査や研究によると、個人が持つ「遺伝的因子」と生活習慣などの「生活環境因子」が関係しているといわれています。
遺伝的因子とは、高血圧の原因が遺伝子にあるというもので、内分泌や神経系などの高血圧に関係する重要な器官の何らかの異常が遺伝することで、子供が高血圧になる確率は、両親とも高血圧の場合は約50%、両親のどちらかが高血圧の場合は約30%といわれています。また、両親のどちらも高血圧でない場合には、子供が高血圧になる確率は約10%と低くなります。
生活環境因子としては、食塩やアルコールの過剰摂取、肥満、喫煙、ストレス、運動不足などが挙げられ、高血圧の発症と密接に関係しています。遺伝因子を持つ方は、高血圧の発症リスクを高めないような生活習慣を送ることで、高血圧の発症率を下げることが大切です。
■二次性高血圧(原因となる病気があるため血圧が高い)
二次性高血圧は、ほかの病気や薬の副作用から引き起こされるもので、その病気の治療や高血圧につながる薬の服用を中止することで、高血圧の症状も改善されます。
高血圧全体に占める割合は5~10%程度で、35歳以下の人が発症する高血圧では、4人に1人が二次性高血圧となります。
二次性高血圧の中でも比較的に多いのが腎臓に炎症が起こる「腎炎」、糖尿病から腎臓の機能が低下する「糖尿病性腎症」、腎盂や腎実質に炎症が生じる「慢性腎盂腎炎」などの腎臓の異常によって起こる病気です。
腎臓はナトリウム排泄の重要な役割を担っていますが、慢性的な炎症が起こっているため、ナトリウム排泄がうまくいかずに血圧が上昇してしまいます。
ほかには、ホルモン分泌にかかわる器官に何らかの異常が起こり、過剰なホルモン分泌によって血圧が高くなる「内分泌性高血圧」、動脈に異常があることで起こる「血管性高血圧」、脳膜炎や脳の外傷など脳や中枢神経の異常で起こる「脳・中枢神経性高血圧」があります。