No.90 血圧を下げる運動療法

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高血圧改善のためには、食事療法とともに運動療法も有効ですが、血圧値がⅢ度高血圧(※)の人、高リスクの人には行えません。

運動中は血圧が上昇し、心臓での酸素消費量が増えるため、心血管病を起こすリスクが高まるためです。

まず、血圧値がⅢ度高血圧の人、高リスクの人は、医師によく相談して、降圧薬治療を行い、ある程度血圧を下げてから運動をはじめましょう。

運動療法が効果的なのは、中等リスク以下の人になります。

運動療法に適した運動は、全身を軽く動かし、血液循環をよくして気分も爽快になるような有酸素運動が向いています。たとえば、歩行(平地・早足)、水中歩行、サイクリング、太極拳、距離(歩く)スキー、社交ダンス、ラジオ体操などです。

運動をすると、血圧を上げる働きのある体内物質(アドレナリンなどのホルモン)が減り、血圧を下げる働きのある体内物質(ドーパミンなどの血中物質)が増えてきます。

また、運動で心臓の拍出量が増え、一時的に血圧は上がります。しかし、しばらく続けていると抹消の血管が広げられて血流がよくなり、血管抵抗が少なくなることでナトリウムの排泄が促されます。そして、上がった血液も徐々に下がっていくのです。

また、運動によって肥満を改善したり、精神的ストレスを発散することも、血圧を下げるために有効です。

一般的に、運動をする習慣がある人は、あまり運動をしない人よりも動脈硬化が進みにくく、心血管病のリスクも低くなることがわかってきました。

運動をすると、筋肉は酸素を消費しますが、運動を続けることで筋肉が鍛えられると、血液中の酸素を効率よく取り込めるようになります。すると、供給する血液の量が少なくてもよくなり、心臓への負担も軽くなります。

また、運動は善玉のHDLコレステロールを増やすので動脈硬化の予防にもなります。さらには糖尿病やうつ状態の改善、骨粗鬆症や寝たきりの予防、免疫力が高まることで病気にかかりにくくなり、高血圧と関連の深い病気にもさまざまな効果があります。

(※)Ⅲ度高血圧・・・180以上/110mmHg以上

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