No.92 肝臓の働き「代謝」②脂質代謝とたんぱく質代謝

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■脂質代謝

私たちが糖を過剰に摂取した場合、どうなるのでしょうか?

ブドウ糖がグリコーゲンとして貯蔵される場所は、肝臓と筋肉です。しかし、肝臓と筋肉には貯蔵できる限界があります。グリコーゲンとして貯蔵できる限界を超える量のブドウ糖を摂取した場合、余分なものはすべて脂肪酸に変えられます。

そして、中性脂肪を形成し、血中に放出されて脂肪細胞に運ばれます。肝臓で貯蔵されているブドウ糖は数時間分の燃料として体内に蓄えられていますが、脂肪組織に蓄えられている脂肪は数週間分の燃料にもなります。

逆に、食事が取れないと、脂肪を分解してエネルギーを作り出すこともできます。ブドウ糖が取り込めない状態になると、ブドウ糖からエネルギーを作り出すことができなくなります。すると、蓄えられた脂肪を分解してエネルギーを取り出します。

この脂肪の分解作用は、肝臓が中心となって働きます。エネルギーを取り出すために脂肪の分解作用が過剰に働くと、ケトン体と呼ばれる物質ができ、血液とともに全身に運ばれて燃料として使われるので、急激なダイエットや、肝臓でうまく糖を取り込めない糖尿病の方は、血液中や尿中のケトン体が増加します。

そのため、尿検査でケトン体を測定することは、肝臓の機能を調べる上でも重用な検査の1つとなっています。

■たんぱく質代謝

たんぱく質は消化酵素でアミノ酸に分解された後、消化管で吸収され、肝臓に直結して送られます。

血糖値が低い時には、一部だけが糖新生の原料として使われますが、大部分は全身の組織に運ばれて、それぞれの組織に合ったたんぱく質につくり変えられます。肝臓でも、肝細胞や血漿たんぱく質の合成に使われます。

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