骨格のゆがみは骨や関節、筋肉だけでなく、内臓を含めた体全体の不調や老化につながっています。
①筋肉や骨の不調
姿勢の悪さによる首や背中、腰の筋肉への負担が、肩こりや腰痛の原因の1つになります。また、背中が丸くなったり反りすぎている状態は、背骨と背骨の間にある椎間板を変形させ、椎間板ヘルニアや脊椎分離症を引き起こすこともあります。
骨格のゆがみの影響は、年齢を重ねるほど増していきます。例えば、膝が外側に開くO脚の場合は膝の関節に負担が掛かりますが、若いときは筋力や柔軟性で支えることができるため痛みはあまり出ません。
しかし、年齢とともに筋力や柔軟性が低下し、関節が硬くなると、関節への負担が大きくなるため痛みが生じてしまいます。60代以降になると、骨が変形する変形性膝関節症につながることもあります。
②神経の圧迫による不調
背骨には、体の支柱という大きな役目がありますが、神経の通り道という重要な役割もあります。
脳からつながった神経の束を脊髄といい、全身からのさまざまな情報を脳に伝える知覚神経、脳からの指令を全身の筋肉に伝える運動神経、内臓の機能などをコントロールする自律神経などが通っています。
背骨を通る神経は、脊髄から枝分かれして全身に向かい、脳からの指令を全身に伝えています。そのため、脊髄は「第2の脳」ともいえるほど重要な存在なのです。
この背骨がゆがんだり、曲がったりすると脊髄が圧迫され、脳からの指令が正しく伝わらなくなり、さまざまな不調を招いてしまいます。姿勢が悪いと、内臓を含めた全身に影響が及ぶのです。原因不明の体の不調は、こんなところからきているのかもしれません。
<頚椎と目の機能>
頚椎からは、目の機能に関する神経が出ています。そのため、頚椎の異常で神経が圧迫されると、目の疲れやかすみ、視力低下の原因となります。姿勢がよくなると、目の神経の圧迫や全身の血流が改善されて、慢性的な疲れ目や充血が改善されることがあります。
③内臓の圧迫による不調
姿勢の悪さは、肺や胃、腸などの内臓を圧迫することによりさまざまな不調を招きます。
「休んでも疲れがとれない」「寝起きが悪くだるい」「やる気が起きない」という慢性疲労の症状も姿勢と深く結びついていることも。
肺は大きな臓器で、上部は鎖骨の上、下部は横隔膜くらいまでの大きさがあり、姿勢が悪いと肺が圧迫され、呼吸が浅くなり全身が酸素不足の状態に陥ります。
体の細胞は酸素を必要とするため、酸素が足りないと疲れやすく、免疫力も低下してしまいます。
④骨盤のゆがみによる不調
姿勢が悪いと骨盤もゆがみやすくなります。
骨盤内には、小腸、大腸、膀胱といった臓器のほか、女性の場合は子宮や卵巣といった生殖器も含まれています。骨盤がゆがむと、これらの臓器を正常な位置で支えられなくなり、お互いに圧迫してしまいます。
その結果、便秘や月経不順、不妊といった問題まで生じてしまいます。また、腸の圧迫により便秘になったり、代謝も悪くなり、冷えやむくみが起こりやすくなることもあります。