No.103 代謝を上げるキーワード『基礎代謝力』

sDSC02417先ずは、基礎代謝力が落ちていないかチェック!

1.ついエスカレーターやエレベーターを使ってしまう

2.定期的な運動をしていない

3.肩こりや腰痛がある

4.平熱が36℃以下で、体温が低い

5.日頃あまり汗をかかない方だ

6.寒がりだ

7.血色が悪いといわれる

<結果>チェックの数が3個以上の人は、基礎代謝力が落ちているかもしれません。

①基礎代謝力とは?

生命を維持するために、呼吸する、血液を循環させる、体温を一定に保つ、内臓を動かすなど、無意識に行っているさまざまな活動を支えているのが「基礎代謝」です。

1日の消費エネルギーの60~70%を占めており、代謝活動の主役ともいえます。基礎代謝量は、生まれた時から成長するにつれて上昇し、思春期のころにピークを迎えます。その後、少しずつ下降しはじめ、50歳を過ぎるとピーク時の80%近くにまで低下します。

例えば、30代の女性(身長158cm体重50kg)の場合、1日当たりの基礎代謝量は目安として、1085kcalです。この女性が20代だったころの基礎代謝量は、目安として1日当たり1105kcalです。

つまり、30代になって、基礎代謝量が20kcal減少したことになり、20代のころと同じような食事内容と運動量の生活をしていれば、基礎代謝量だけで毎日20kcalの余剰分が出てしまいます。仮に、その分が毎日体に脂肪として蓄積されたとすると、1日当たり約3g体重が増加することになります。

一見、大した数字には思いませんが、それが1か月続くと約90g、1年で約1kg、3年で約3kgとなります。このように、年単位でみると、じわじわと体重が増加していることがわかります。なお、基礎代謝量は、基礎代謝基準値(kcal)×体重(kg)で求められます。

年齢別基礎代謝基準値

年齢

男性

女性

12

61.0

59.7

35

54.8

52.2

6~7歳

44.3

41.9

89

40.8

38.3

1011

37.4

34.8

1214

31.0

29.6

1517

27.0

25.3

1829

24.0

22.1

3049

22.3

21.7

5069

21.5

20.7

70歳以上

21.5

20.7

※体重1kg当たりの基礎代謝量の目安(kcal)

②筋肉と基礎代謝

基礎代謝量の大部分は、筋肉によって消費されます。これは、エネルギーを消費する臓器の中で、筋肉が約40%と多くを占めているためです。

40代以降になると、一般的に毎年約1%の割合で筋肉が失われていくといわれ、特に下半身の筋肉の衰えが目立つようになります。それに加え、運動不足によって筋力が低下すると、せっかく栄養素を取り込んでも、それを燃やしてエネルギーにすることができにくくなり、脂肪が蓄積されやすい体になってしまいます。

つまり、基礎代謝力を上げるためには、筋肉量を増やすことで、栄養素を燃やしてエネルギーを生み出す力をアップさせることが大切だといえます。

③血液と基礎代謝

血液は血管の中を流れて、体内をめぐっていることはもちろん、体の各細胞に酸素や栄養素などさまざまな物質を供給するとともに、体内の二酸化炭素や老廃物を受け取って肺や腎臓へ運ぶ働きをしていることが明らかになっています。

そして、細胞は血液から栄養素を受け取ることで、体の構成成分を合成したり、エネルギーをつくりだしたりすることができるのです。つまり、血液のめぐりが悪くなると、栄養素が各細胞にスムーズに運ばれず、多くの臓器や組織の活動が低下したり、エネルギーがつくられにくい体になってしまったりします。

また、酵素の合成や分解も起きなくなるため、代謝が落ちるという悪循環に陥ってしまうのです。

例えば、骨をつくるのに必要なビタミンDがあります。日光に当たって紫外線を浴びることによって、皮膚内で合成される唯一のビタミンです。ビタミンDは、そのままでは生理作用はほとんどなく、腎臓と肝臓で酵素の作用を受けて活性型ビタミンDになることによって、体に有効な働きをします。

つまり、血液のめぐりが悪くなると、皮膚でせっかく合成されたビタミンDが腎臓や肝臓にうまく運ばれず、利用できなくなってしまうのです。

④冷えと基礎代謝

血液のめぐりが悪くなると起こるのが「冷え」です。

冷えとは、抹消の血管が収縮して皮膚に流れる血液が不足し、手足や腰、背中などが冷たく感じるようになることです。

代謝は化学反応の一種で、さまざまな酵素がそれを促進する働きをしています。酵素は、低温では反応が遅くなり、高温では働かなくなってしまうなど、温度の影響を受けます。酵素反応が早く、安定して行われるためには、体内をちょうどよい温度(37℃付近)に保つ必要があるのです。

そのために、寒いときは手足の末端や皮膚表面などの血管を収縮させて熱の拡散を防ぎ、心臓や肝臓など重要な臓器が集まる体の中心部に血液を集めて、体温を維持しようとします。すると、血液が行き渡りにくくなった手足や足先は温度が下がってしまい、冷えを感じるようになるのです。

また、内臓温度が1℃下がると、基礎代謝は約12%も下がるといわれています。例えば、女性で基礎代謝量が1200kcalの場合、内臓温度が1℃低くなると1日で144kcal程度のエネルギーを消費できていないことになります。

ほかにも、冷えによって起こる症状は全身に及びます。腰の冷えは女性に多い症状ですが、腰が冷えると骨盤内がうっ血して筋肉がこり、骨盤にゆがみが生じます。すると、腰痛が起こり、さらに背骨全体に影響し、肩や首のこり、頭痛を招きます。また、腰の冷えによって周辺の内臓機能(子宮、卵巣など)が低下し、月経困難症などが起こる場合もあります。

血液循環が悪いために老廃物などが体内にたまり、皮膚のかさつきや荒れ、くすみとなって現れることもあります。このように、基礎代謝の低下はさまざまな不調とつながっているのです。

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