No.2 口からはじまる健康<その2>

全身の健康のために口腔ケアをこころがけましょう!

口が健康である状態とは「よく食べることができる」「よく話すことができる」「人前でも 大きな口をあけて笑うことができる」の3つを満たすことです。つまり噛める歯を持ち、正しく発音できる歯並びや舌の機能、唾液の分泌が正常で口臭を気にせずに話ができる口腔であることです。

口の健康は全身の健康に影響します。歯の全くない人はQOL(生活の質)が低く、20本以上残っている人に比べると身体的健康状態は10倍、精神的健康状態は3倍悪化したという報告があります。

歯を失うとよく噛まずに飲み込むことが多くなり、消化・吸収に影響します。
また噛み合わせが悪くなり、口と連動している周囲の骨や筋肉に影響を及ぼし、肩や首がこったり、頭痛、めまい、耳鳴りの原因にもなります。ほかにもイライラや疲労感、無気力、不眠など不定愁訴の原因の一つともいわれています。

「年代に応じた予防策」
■乳幼児期
乳歯のむし歯と永久歯のむし歯には強い関連性が認められており、乳幼児期は歯口清掃や食習慣
などの基本的な生活習慣を身につけるために非常に重要な時期です。甘味食品や飲料の摂取頻度は
むし歯の発病と大きくかかわっています。特に砂糖は他の糖質よりもむし歯を誘発しやすいと
いえます。甘味料にむし歯にならない、あるいはなりにくいものを上手に利用することがすすめられます。

<むし歯にならない甘味料>
  ・キシリトール:むし歯にならない食品によく使われる甘味料。砂糖に近い甘さ。
  ・アスパルテーム:アミノ酸系甘味料で砂糖の200倍の甘さ。
  ・マルチトール:すっきりした甘み。
  ・エリスリトール:カロリーゼロで甘みは砂糖の70~80%。
<むし歯になりにくい甘味料>
  ・ステビア:キク科のステビアの葉から抽出し、精製したもの。砂糖の300倍の甘さ。
  ・オリゴ糖:大腸内のビフィズス菌の増殖を促進。

■学齢期
基本的には幼児期と同様で、甘味食品・飲料を摂取したときのケア、歯口清掃によるプラーク
(歯垢)の除去、歯質の強化対策としてフッ化物の利用などが挙げられます。フッ化物配合の
歯磨き粉などは手軽に家庭でも利用できるので、成分をよく見て選びましょう。
またよく噛むということを習慣づけることで、顎の骨が発達したり、歯並びがよくなったりします。
さらに、噛むことによって顎の筋肉だけでなく首筋、胸、背中の筋肉も使うので、上半身の筋肉の
バランスを整え、上半身の姿勢もよくなります。そして、脳に酸素や栄養素が送られることで
脳が活性化します。

■成人期
この年代は、歯肉炎などの症状が現れやすく、将来的な歯の喪失を予防するために歯周病を防ぎ、
その進行防止のための対策をとることが大事です。
歯に隙間がある場合、歯ブラシだけでは歯と歯の間のプラークを完全に落とすことができません。
効果的な対策としては、デンタルフロス、歯間ブラシなどの歯間を清掃する器具の使用があります。
喫煙は口腔の健康へ悪影響を及ぼします。喫煙者とそうでない方を比べた場合、歯周病のリスクが
5倍も高いことが明らかになっています。タール、ニコチン、一酸化炭素などは、唾液の分泌を
低下させ、プラークができやすい環境をつくります。たばこを吸う人は、より丁寧なケアを
しましょう。また、歯肉の血行を悪化させるため、末梢の血液循環をよくするビタミンCやEを
食事などに取り入れましょう。

■妊婦出産期
歯周病があると、早産を誘発し、低出生体重児を産む確立は通常の7倍になるといわれています。
つわりによる吐き気のために、歯のケアがおろそかになりやすいので注意しましょう。
つわりで気分のすぐれないときは、においの強い歯磨き粉の使用を避けたり、小さめの歯ブラシに
変え、顔を前傾するなどして奥から前にかきだすように磨くとよいでしょう。

■高齢期
「80歳になっても自分の歯を20本以上保とう」という8020運動が、平成元年より厚生省
(厚労省)により提唱されました。20本以上の歯があると、ほとんどの食品を自由に咀嚼することが
できます。しかし実際は20本以上の歯が残っている80歳の人の割合は25%程度です。高齢者は、
残っている歯が少ないことに加えて、加齢により噛み合わせる力や舌の運動機能が低下し、唾液の
分泌量も減少するため、咀嚼能力はさらに低下します。なんといっても歯の喪失を防止することが
目標です。プラークは放置すると石灰化して、歯石になり、歯磨きだけでは取りにくくなります。
歯科で定期的に歯石を除去してもらうことで口内環境を保ちましょう。
高齢者の起こす事故で注意しなければならないものが誤嚥で、これは飲食物をうまく食道に送り込めず気管に入ってしまうものです。高齢者は喉の筋肉や神経が衰え、嚥下反射が遅れることがあり、
飲み込む力が低下します。正しい姿勢でゆっくりと食べること、おかずは食べやすいサイズに切る
こと、喉がうるおうように水やお茶を飲むことなどを心がけ、ゆっくりと食事を楽しみましょう。

~こんな習慣や症状はありませんか?あなたの口腔健康チェック~
             □よく早食いをする
             □間食をすることが多い
             □あまり噛まない方だ
             □野菜をあまり食べない
             □甘いものを1日に1回は食べる
             □寝る前の歯磨きをしないことがある
             □歯ぎしりや歯を食いしばるくせがある
             □食物の味が薄く感じる
             □1年以上歯科へ行ってない
             □1日の歯磨きは2回以下である
             □食事中にたくさん水を取る
             □頬のあたりがたるんできた
             □たばこを吸っている

<結果>  0個  口腔内を健康に保つ生活が送れています。

      1~7個  口腔内の健康度が低下する可能性があります。
            早めに予防習慣を身につけましょう。

      8個以上 歯を失う危険性があります。
            生活習慣を改善しましょう!

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