No.11 肝臓をいたわる10の方法

①お酒は適量を味わいましょう

肝臓が無理なく解毒できるアルコールの量の目安は「お酒は1日純アルコール20g程度 までに」といわれています。そうするとお酒の種類と量は下記のようになります。

  焼酎(35度)  1 / 2合(90ml)

  ワイン      グラス2杯(240ml)

  ビール      中びん1本(500ml)

  日本酒      1合(180ml)

  ウイスキー(ダブル) 1杯(60ml)

肝臓が1時間でアルコールを分解できる量は、体重1kg当たり0.1gです。体重60kgの人は6gであり、ビール中びん1本分のアルコール量を分解するためには約3~4時間かかる計算となります。

また、宴会などのはじめに乾杯をしたお酒を空腹のまま一気に飲み干すと、そのアルコールはすぐに胃から吸収され、約5分で肝臓へ届くため、酔いがまわりやすくなります。乾杯をしたお酒は口をつける程度にとどめて、少し食事をしてから再び飲み始めたほうがいいようです。

②禁煙しましょう

タバコに含まれる有害物質を取り込むと、肝臓の解毒の仕事を増やしてしまいます。特にお酒を飲みながらの喫煙は二重の負担を与えます。さらに有害物質は血管を収縮させるため、肝臓へ流れる血液量が減ってしまいます。

③便秘を防ぎましょう

便秘も、大腸で発生するアンモニアの量を増やすため、肝臓の解毒の仕事を増やしてしまいますので、早めに解消しましょう。ヨーグルトなどに多く含まれるビフィズス菌などの乳酸菌を摂取すると、大腸の中で乳酸を作り出して酸性の環境を整え、アンモニアを作り出す悪玉菌を繁殖しにくくします。

また食後は便意がなくてもトイレにいく習慣をつけるといいですよ。胃に食べ物が入ると、その反射で大腸の働きが活発になり、便が出やすくなります。特に、体が目覚め始める朝食後が効果的です。

④食事の時間を規則的にしましょう

肝臓に栄養素が流れ込む時間が日によって違うと、肝臓に負担がかかります。また、だらだらと間食をすると、ひっきりなしに栄養素が肝臓に流れ込み、肝臓が働き通しになってしまいます。

⑤タンパク質を毎食補給しましょう

タンパク質の構成成分であるアミノ酸は、傷ついた肝細胞を作り直す時の材料になります。またタンパク質が不足すると、集められた中性脂肪が肝臓から出られずにとどまり、脂肪肝につながってしまいます。肝臓の中の中性脂肪が血液中に放出されるには、タンパク質との結合が必要だからです。

タンパク質が多く存在する食べ物でも、植物性のものと動物性のものとでは含まれているアミノ酸の種類が異なりますので、両方を合わせて食べるといいでしょう。

植物性のものでは大豆、大豆製品など、動物性のものでは鶏ささみやタラなどの白身魚、卵、牛乳などがおすすめです。お酒を飲む時のつまみとしても、これらの食べ物を活用するといいですね。

⑥満腹になるまで食べないようにしましょう

ブドウ糖もアミノ酸も、使われずに余った分は肝臓が中性脂肪に作り変えて肝細胞などに蓄積してしまいます。

⑦甘い食べ物や飲み物を控えましょう

砂糖を使った菓子類やジュースに多く含まれているブドウ糖や果糖などの炭水化物は、吸収が早く、内臓脂肪としてためられやすい性質があります。内臓脂肪を減らすことは、脂肪肝の予防につながります。

⑧食後10分間は安静にしましょう

肝臓が働くためには血液が必要です。食後は、肝臓が特に忙しく働く時間ですが、すぐに体を動かすと、肝臓へいくはずの血液が手足の筋肉などへ回ってしまいます。例えば横になって安静にしている時の肝臓の血液量を100とした場合、立ち上がっただけで80~70、歩いたりすると50~20にまで減ってしまいます。

 ⑨適度に運動しましょう

内臓脂肪は、運動によって減らしやすいと考えられています。その理由は、内臓脂肪は腹部の腸間膜にたまりますが、腸間膜には多くの血管があるため、中性脂肪を分解する酵素やホルモンが脂肪細胞に取り込まれやすく、また、分解された脂肪も、血液中に流れ込みやすいという特徴があるからです。

一方、皮下脂肪は、皮膚の下にたまりますが、毛細血管の量が少ないため、運動の効果が出にくいという特徴があります。

背筋や胸筋など、大きな筋肉を鍛えると、基礎代謝やホルモン分泌がよくなり、脂肪肝を防ぐなどして間接的に肝臓の働きを助けます。まずは、5分間くらいのストレッチから始めてみてはいかがでしょうか。

⑩睡眠を充分にとりましょう

1日中働き続けた肝臓に休息の時間を与えましょう。睡眠中は肝臓に充分な血液が行き渡ることから、傷ついた肝細胞を修復するためにも役立ちます。

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