大腸の自動的な働きをコントロールしているのは自律神経です。自律神経には交感神経と副交感神経がありますが、大腸は副交感神経が優位に働くときに蠕動運動が起こります。このような自律神経の働きは、脳の視床下部が司っており、大腸を操作するオペレーターのような役割をしています。
しかし、この視床下部には、とても喜怒哀楽の影響を受けやすいという弱点があります。そのため、対人関係や仕事などで怒りや不快感、緊張や不安などのストレスを受けると、それが自律神経の働きに影響を及ぼし、たちまち大腸にも伝わってしまうのです。
すると、交感神経が過度に働いた場合には、大腸の蠕動運動が異常に亢進して、内容物がいつもより早く通過することで下痢になってしまいます。また、副交感神経の働きが鈍った場合には、大腸の蠕動運動が抑制されて便秘になってしまうなど、便通異常を引き起こす原因になってしまうのです。
さらに、大腸と脳は「脳腸相関」という関係にあり、大腸が不調になると、逆に大腸からのストレス信号が脳に伝わり、再び脳から影響を受けるという悪循環を引き起こしてしまいます。このように大腸って脳と密接な関係にあり、とてもストレスに弱いナイーブな臓器なのですね。