「便秘」というと女性に多いトラブルというイメージがあります。その一方で「下痢」は男性に多くみられ、朝トイレに駆け込むという方も多いのではないでしょうか。なぜこのように男女差があるのでしょうか。
まず、女性ホルモンの1つである黄体ホルモンには、大腸の蠕動運動を抑える作用があり、黄体ホルモンが盛んに分泌される排卵から月経にかけての時期は、便秘が起こりやすくなります。また、女性は男性に比べて腹筋など排便で使う筋肉の力が弱いこと、ダイエットや食事の摂取量が少ないと腸の蠕動運動が弱まって便秘になりやすいことも理由として考えられます。
腸の運動を適切に保つためには、腸を積極的に動かす食材や食事を取ることが大切です。また、1日の中でちょっとしたポイントがあります。まず最も腸の働きが活発になる朝は、必ず朝食を取ることが大切です。忙しい場合でもバナナにヨーグルトを添えてみるとか食物繊維の多い食材を加えてみたりするのも効果があります。
ほかにも、羞恥心で排便を我慢したり、家事や仕事で忙しくその機会を逃したりすると、直腸の排便反射が低下し、便秘になってしまうことも多いようです。
一方、男性が便秘よりも下痢に悩まされることが多いのは、アルコールを飲む機会が多い、腸管が太いなどの身体構造の違い、ストレスによる過敏性腸症候群などの原因が考えられます。
ここで注目したいのが、アルコールと下痢の関係です。アルコールには、それ自体が小腸を刺激する作用があるため、腸の蠕動運動が速くなり過ぎて、水分の吸収が充分にできなくなります。またアルコールが腸管内に入ると、浸透圧の関係から腸管での水分の吸収が阻害されてしまいます。すると、水分が、便のもとである内容物と混ざり、便が軟らかくなって、下痢が起こってしまいます。ビールやウイスキーの水割りなどの冷たいものを多く取ることも腸を刺激する原因になります。
つまり、アルコールをたくさん飲む人は、下痢になりやすい状況を自らつくっているわけです。特に、腹痛のない下痢の場合、その可能性は高いといえます。
下痢に悩んでいる方で、アルコールの飲みすぎに心当たりのある場合は、量を控えてみましょう。どうしても飲みたいときは、焼酎のお湯割りや熱燗などの、温かいお酒に切り替えてみてはいかがでしょうか。これで、今まで悩んでいた下痢から解放されるかもしれません。