No.28 夏の食養生 苦味の食材(東洋医学)

苦味の食べ物は、強心、消炎、解熱、止血、鎮痛作用があり、体の熱を冷まして、夏にオーバーヒートしやすい「心」の高ぶりを鎮める作用があります。高熱や便秘、胃もたれなどにも有効です。また、利尿作用が高いことも特徴で、湿気の多い夏に滞りやすい体内の余分な水分の排泄を促すこともできます。便秘の予防や改善にも苦味成分は不可欠です。

苦味の食材は、引き締めたり、固めたりする作用があり、出血のときに苦味の薬剤を使うと、血液が凝固して止血効果が得られるといわれています。では、苦味の食材には、どういったものがあるのでしょう。春から夏に取れるタケノコやフキなどの山菜、ごぼう、ゴーヤーをはじめ、緑茶や紅茶、ビール、コーヒーなどがあります。このように、体内の熱を冷ます夏にふさわしい苦味の食材ですが、摂り過ぎると胃腸を冷す原因になります。気温が低くなる秋冬はもちろん、冷え性の人や胃腸の弱い人も摂り過ぎには注意が必要です。なぜなら「胃は湿を嫌い、燥を好む」とされ冷し過ぎは機能低下を招くからです。

苦味のほかにも体の熱を冷ますのに最適なものが、スイカやトマト、きゅうり、なす、メロン、冬瓜など夏に旬を迎える食材です。夏が旬の野菜や果物は、胃腸の働きを補い、体の熱を冷ます作用があります。また、夏野菜や果物は水分が多く含まれるので、汗として流れ出た水分を補充することができます。それとともに、排尿を促し、体内の水分代謝を高める効果もあります。そして、カロテンやビタミンC、カリウムなども豊富に含まれるため、汗と一緒に排出されるビタミンやミネラルを補うこともできます。暑い夏はこれらを上手に摂りたいものですね。

Comments are closed.