No.33 秋に起こりやすい病状(東洋医学)

病気の原因になるものを病因といいますが、病因には外から侵入してくる「外因」と、体内でなんらかの異常が起きることによる「内因」のことは以前記しました。今回は秋に関する外因と内因をみていきます。

■外因から起きる症状~「燥」~

外因とは、自然界の季節や気候の変化など、体の外の環境が原因となるものを指します。それには「風」「暑」「火」「湿」「燥」「寒」の六種類があり「六淫」と呼ばれ、体表や口、鼻から侵入することによって発病させます。この六淫が通常範囲であれば問題はないのですが、過剰であったり、季節はずれであると、急激な気候の変化が体に負担をかけ、病気を引き起こします。

秋は「燥」が過剰となり、乾燥に伴う影響を外から受けやすくなります。燥の特徴は体に侵入すると、体の水分である水(津液)が消耗されて、乾く症状が出ます。具体的なものとしては、「のどや鼻、皮膚が乾燥する、せきが出る、便秘になりやすい、尿の量が少ない」などです。一般に燥が体に侵入することで、肺に症状が出やすくなるので注意が必要です。

■内因から起きる症状~「憂」「悲」~

内因とは過度の精神状態が原因となるものを指します。「喜」「怒」「憂」「思」「悲」「恐」「驚」の七種類があり、「七情」と呼ばれています。七情は健康な人にも感じますが、これらの感情が過度であったり、長時間持続的に続く場合は正常ではなく、病気を引き起こすとされています。七情が正常な時は、体の気、血の流れもスムーズで、臓腑の機能もよくなります。しかし、七情が正常でないと気、血の流れが悪くなり、臓腑の働きが乱れます。内因は体の中から生じる刺激であって、臓腑を直接傷つけます。

さて、肺の働きが乱れる秋ですが、肺を傷つけるものは、「憂」と「悲」で、「悲しむと気が消耗する」とよくいいます。秋は物悲しい季節といいますが、悲しむときは気持ちが落ち込みやすく、元気がなくなり、肺を損なって肺気を消耗します。肺気が少なくなるとため息ばかりつき、気力がなくなる、意欲がなくなるといった症状がみられます。そうならないためにも、うまく自分を調節する必要がありそうですね。

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