No.37 冬は腎の働きにご注意(東洋医学)

人間の五臓のうち冬と関係の深いものは、腎です。腎は膀胱とつながり、お互いに協調して働いています。体が冷えると腎と膀胱の働きが乱れるため、冬は特に注意が必要です。

<腎の働き>

■精を蓄えます

精とは、我々が先天的に持っている成長、発育などの生命エネルギーの基本となる物質のことです。精は2種類あって、親から受け継いだ「先天の精」と飲食物から得た「後天の精」とに分けられます。

■成長や発育を調節します

「先天の精」を使って、体を成長させたり、月経を起こしたり、精子を作り出したりしています。なお、先天の精は年齢とともに減っていくため、やがて体が老化していきます。また、腎は「後天の精」を五臓六腑に供給し、それらの働きを維持するとともに、減っていく先天の精を補充していきます。

■水(津液)の再利用と排泄を調整します

肺の働きによって体中をめぐった水(津液)のうち、必要ないものを受け取り、まだ利用できるものを吸収して戻します。残りは尿に変えて膀胱へ送り、ある程度たまったら排泄させます。

腎の働きの乱れによる症状

腎の働きが乱れると、精が不足し、体が老化すると考えられています。また精が不足すると、元気が出ない、やる気が起こらないといった症状が現れます。

<体におこる主な症状>

●骨

骨が弱くなります。骨の中に存在し、骨の成長や発育にかかわる骨髄は、「先天の精」が作り出すといわれています。

●耳

耳鳴りが起こり、聴力が低下します。約2000年前に作られた「霊枢脈度篇(れいすうみゃくどへん)」という本の中では、腎と耳が密接な関係にあることを示す「腎気は耳に通じ、腎和すればよく五音を聞く」という文章が示されています。

●肺

息切れや呼吸困難がおこります。腎は肺とも協調して働いているからです。

●毛髪

髪への栄養が滞ることから、髪が抜け、白髪が増えます。

●膀胱

排尿の回数や尿の量の異常、排尿痛、夜間排尿が起こります。また水(津液)の排泄が滞ることで、むくみや冷えが起こります。

心庵ではこの時期は特に腎に関連する施術を丁寧におこなうようにしています。

Comments are closed.